だれでも一流大学に合格できる ”学校を頼っては、絶対にいけない”

「高校受験前に、志望校を決定しておけ」

“引きのばし教育”で中学生はバカになる
 中学校の学業内容をみて、果たしてこれでよいのか、と思ったが、今から15年前で、
そのときはすでに、戦後も10年以上が経過していた。
 当時、当局者は、6・3・3制の整備をうたい、義務教育の定着化を誇っていたのであるが、
ある日、ふと、私は、自分たちの時代の中学校の学習内容と、新しいそれとを比較してみた。
 まず、数学における差異に驚いた。私たちが、旧制1年の終わりに学習した単元が、
新制では、中学3年の卒業期に習得することになっているのではないか。
英語、またしかり。たまたま、私が中学2年当時に愛用していた英語イディオム集を
取り出して、ページをめくってみれば、それは、まったく現在の高校2クラスのものであるのに気がついた。
 比較すればするほど驚いた。
 たんに、時代が変わったんだ、と言ってしまえばそれまでだが、反面、学術、科学の
世界は、戦前とは比較にならぬくらい進んでいるというのに、中学校の教科課程だけが、
これほどに遅れていて、本当によいのだろうか。
「これでは、日本の少年がバカになる」
私は、端的にそう感じた。
一年間でやってこそ、回転の速さで力がつく教材も、3年間にひきのばしたのでは、働いている頭も、間のびがして働かなくなるのは当然。これでは、子どもが、ほんとうにバカになってしまうに違いない。
“一をきいて十を知る”たぐいの子どもだけしか、一流大学へは行けない時代になってしまったのではないか。敗戦の弊これにすぎるはなし、と思った。私はただちに、文部省などには制約されない一私人として、テスト屋をはじめた。
 それから15年、ようやく中教審(中央教育審議会。文部大臣の諮問機関)の答申が発表された。
 しかし、これが規制化されるためには、さらに、今後10年以上の歳月が必要であろう。
10年後、どのような制度が、どのように理想的に実現されていようとも、現在の子どもたちにとって、それが何の意義を持っていよう。彼らは、すでに、とっくの昔に、教育期間を終えてしまっていることをわすれてはならない。しかも、この低い教科内容をすら、
今の子どもたちは消化していない、というのが、恐るべき実態なのである。

                               祥伝社「入江塾の秘密」入江伸 より

カテゴリー: スタッフブログ パーマリンク